頼清徳副総統は28日、台中市(台湾中部)霧峰区にある立法院議政博物館を訪れ、「サンフランシスコ平和条約発効70周年特別展」開会式に出席した。頼副総統は、「客観的事実、あるいは国際法から見ても、中華民国台湾の主権は中華人民共和国には属さない」と主張。さらに、「中華民国台湾の主権と中華人民共和国は互いに隷属せず、台湾の前途は台湾に住む2,300万人によって決定される」と述べた。頼副総統の挨拶の要約は以下のとおり。
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70年前のきょう、つまり1952年4月28日、第二次世界大戦後の日本にとって最も重要なサンフランシスコ平和条約が発効した。立法院(=国会)の游錫堃(=国会議長)、蔡其昌副院長(=副議長)をはじめ、立法院の関係者の努力によって「サンフランシスコ平和条約発効70周年特別展」が開かれることになった。私は蔡英文総統の代理として、立法院の努力に対して謝意と敬意を示す。より多くの人々が参観に訪れ、サンフランシスコ平和条約について理解を深めるよう期待している。
台湾は過去数十年間にわたって権威主義統治と民主化運動を経験してきた。台湾では1987年に戒厳令が解除され、これによって報道と言論を制限する「報禁」や、新規政党の結成を禁止する「党禁」なども解除された。1992年に国会の全面改選が、1996年には台湾初の総統直接選挙が行われ、現在に至る。これまでに3回の政権交代が実現した。言い換えればこれは、台湾の人々がこの土地で、民主主義の力をもって、台湾人が台湾というこの土地において主権を有しているということを国際社会にアピールしてきたのである。これは疑いようもない事実である。
客観的事実、あるいは国際法から見ても、中華民国台湾の主権は中華人民共和国に属さない。これはれっきとした事実である。台湾の人民だけが、台湾の前途を決める権利を持つ。いかなる国であっても台湾に対して戦争を発動すれば、それはすべて侵略行為である。国際社会は声を上げてけん責し、こうしたことが発生しないようにしなければならない。
残念なことに、この数十年間にわたり、多くの台湾の人々がサンフランシスコ平和条約の全貌を完全には理解してこなかった。それゆえ、立法院は台湾省議会紀念園区においてこの特別展を開催することを決めた。サンフランシスコ平和条約の全容を解明し、この条約が台湾にとっていかに重要であるかを全国民に理解してもらうのが狙いだ。
なるべく多くの人々にこの特別展を参観してもらい、サンフランシスコ平和条約についての理解を深めてもらいたい。国民がより団結すれば、これからの台湾の民主主義の深化にとって大きな助けになると信じている。
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「サンフランシスコ平和条約発効70周年特別展」は8月31日まで、立法院議政博物館2階で開催されている。28日に行われた開会式には頼清徳副総統のほか、立法院の游錫堃院長、蔡其昌副院長らが出席し、テープカットを行った。立法院議政博物館は台中市霧峰区の台湾省議会紀念園区内にある。